最近の軸受の動向とユーザー二ーズ/4. ミニチュアベアリングの動向とユーザーニーズ

摘要

大きな重たいものを動かすときにコロを使うことは古くから広まっていたようだが、ボールやコロが軸受けという形で多用されるようになり、近代の産業革命を経て転がり軸受けの使用量は飛躍的に増大した。特にボールを同時に研磨する研磨機をFriedrich Fischer等が開発すると（1883年、図1）、ボールベアリングは重要機械部品として広まり、戦車や航空機の軍事産業にも使われるようになる。ベアリングのメッカといわれたドイツのSchweifurtが、第2次世界大戦で軍需産業の標的として破壊されたことも、ベアリングが機械部品として重視されていたことを示すものである。特に小径/ミニチュアサイズのベアリングは最近の30年間に大量に世界中に供給されるようになった。80年代のVTR、90年代のHDD、現在に至る電源の冷却用のファンモーター等は代表的な量産モデルになるが、いずれも月産数千万台まで達した用途で、生産給数はまさに天文学的数量になる。例えば現在の一般家庭を考えてみても、掃除機、洗濯機、パソコン、自動車等、小径以下のサイズだけでも数十個のベアリングが使われている。これほど広く近代社会に受け入れられることになったのも、ベアリングは回転するものと静止するものを繋ぐ唯一の部品であるからに他ならない。