語頭条件を満たさない単語集合をもつWord-Valued Sourceの性質について

摘要

情報源符号化における情報源モデルとして,"言語アルファベット情報源(word-valued source)"が提案されている［1］,［2］。 西新らは,i．i．d．言語アルファベット情報源を,可算アルファベットy上のi．i．d．（定常無記憶）情報源と,ツから有限アルファベットxの有限系列への写像φによって定義し,この情報源の漸近等分割性（AEP）を示し,エントロピー·レートを与えた［1］。 後藤らはこれを定常エルゴード言語アルファベット情報源に対して一般化し,同様の結果を示した［2］。 これらの結果は,写像φがprefix-freeであるという条件もとで導かれている。一方,写像φがprefix-freeでない場合については,エントロピー·レートの存在すら明らかではなく,情報源のエントロピー密度レート［6］に対して西新ら［1］がその上界と石田ら［3］が下界を与えたにとどまっている。 そこで本稿では,数値計算によってエントロピー·レートや上界·下界の有効性について候証し,φがprefix-freeでない言語アルファベット情報源の性質について考察を行う。