多入力振動の乗り心地評価－自動二輪車への応用

摘要

乗り物全般における人体振動の特色としてまずあげられるのは，全身振動と手腕振動が同時に発生することであろう。 自動二輪車の振動がそのよい例で，サドル，ペダル，そしてハンドルを介して多様な振動特性（e.g.振動周波数，振動レベル，方向，位相，etc.）でもってユーザーにあらゆる感覚をもたらすであろう。 従って，振動について乗り心地を評価する上では，人体との接触面（i.e.手，足，座席上）それぞれについて，振動（物理量）に対する人間の反応（心理量）の関係を理解することが課題となる。 本稿では，既存の振動評価法(ISO2631-1, 1997)を背景に，自動二輪車の乗り心地評価について検討し，筆者らの行っている多入力振動シミュレーター(Multi-input simulator)を用いた精神物理実験による結果を一部紹介する。