溶接継手の疲労強度（2）完－疲労強度の改善方法について

摘要

溶接継手の疲労強度は，溶接止端等に生じる応力集中のために，母材に比べて著しく小さくなる。加えて，溶接継手の疲労強度は継手の種類と仕上げ方法でのみ決まり，母材の引張強さに依存しない。近年，移動式クレーンは大型化が進み，軽量化のためにジブに高張力鋼が使用されている。しかし，高強度な材料を使用しても溶接部の疲労強度は改善しない。そこで，溶接継手の疲労強度改善方法について解説するとともに，600MPa級高張力鋼で作製した溶接継手に超音波衝撃処理（Ultrasonic Impact Treatment：UIT）を施すことで，疲労強度の改善を図った事例を紹介する。