分子動力学法を用いた臨界半径程度の大きさを持つ水クラスターの挙動に関する研究

摘要

蓄冷材を凝固させる際，温度を融点以下に下げても凝固しない過冷却現象が生じる．そのため，確実に凝固させるためには凝固点よりも10℃程度低い温度まで冷却する必要があり，このことにより冷凍機へ余分な負荷がかかってしまう．凝固終了時間が延びるという影響も出ている．従って，過冷却現象を抑制することは，省エネへの貢献に繋がることになる．抑制方法の一つに，氷核生成物質等を用いた不均質核生成の発生により解消させる方法がある．そして効率よく適正な氷核生成物質を選定するためには，均質核生成における臨界核の形状等を知ることが重要不可欠なことである．しかしながら，実験により臨界核の形状を調べることは困難である．そこで本研究では，分子動力学法を用いたシミュレーションを行い，臨界核の形状および固液界面上での分子の挙動を観察，検討し，氷核生成物質および形状の選定への一助とすることを目的としている