マグネシウムダイカストの環境への展開

摘要

マグネシウムの比重はアルミニウムの2／3、鉄の1／4であり、実用金属の中で最も軽い金属の一つである。比強度、比剛性が高く、樹脂とは異なる金属ならではの性質、例えば電磁シールド性、良放熱特性などの優れた特徴をもつ。このことから弱電分野においてはAV機器、携帯電話、ノートパソコンなどの筐体に、そして車両分野においては、省エネルギーが強く求められている自動車の部品軽量化などに、近年盛んに適用されている。マグネシウムは結晶構造が最密六方晶格子であり、すべり系の活動が制約されることに主に起因して、塑性加工性が劣るため、鍛造方法での生産は少なく、その生産は鋳造法の一種であるダイカスト法が主流となっている。ここでは、マグネシウムの成形技術の主流であるマグネシウム合金ダイカストの合金開発動向と自動車部品の適用例、およびダイカスト工法の環境への取組みについて報告する。