森林風景がもたらす癒し効果の検証－水辺の有無による差異 第二報

摘要

森林の写真がひとに与える癒し効果を検討した．まず，森林における川，湖などの水辺の存在がどのような影響をもたらすかについて，視覚的側面から検討した．また，森林植生の違いによるイメージの差異等を検討した．水辺の存在の影響については，男子大学生および大学院生20名を被験者として，森林風景写真をパソコンの背景画面に表示し，40分の暗算作業前後における気分評価，自覚症しらべ，作業空間に対するイメージ評価（意味微分法）および写真に対する質問紙調査（注意回復理論）を行った．植生の違いによる影響については，男女大学生および大学院生51名（男性24名，女性27名）を被験者として，森林風景写真のイメージ評価（意味微分法），質問紙調査（注意回復理論）および順位付け（一対比較法，順位法）を行った．その結果，水辺が写った写真の方が有意に魅力的であると評価され，これを用いた作業空間では自覚症しらべのだるさ感が有意に低いことが示された．また，植生の違いによる差はほとんど見られず，癒し効果への影響は光の当たり方が大きいと考えられた．以上より，水辺があり，かつ明るい森林風景写真の癒し効果が高い可能性が示唆された．