ナノコンポジット表面改質膜によるダイカスト用金型の長寿命化技術

摘要

日本におけるマグネシウムダイカスト製品の用途は今のところ、携帯電話、デジタルカメラやノートパソコンなどの筐体が主体であるが、世界的にみてマグネシウムの最大の需要先は自動車部品であり、その潜在需要は極めて大きい。 このように、アルミニウムやマグネシウムのダイカスト製品需要は急激な伸びを示しているが、その一方で厳しいコスト低減の要求もあり、金型の耐久性向上が強く求められている。 一般的に金型には窒化処理が施されるが、最近ではTiN、CrNなどの硬質保護膜による被覆処理が行われるようになってきた。 しかし、これらの表面改質を施しても、耐久性が十分とは言えない。 われわれは金型の飛躍的な長寿命化を図るために、ダイカスト金型に適した新しい保護膜を開発することを目標として、ナノコンポジット膜の研究を展開してきた。 ここでは研究に用いているスパッタ技術、ナノコンポジット膜および研究成果の一部を紹介したい。