金型の高速ミーリング用ボールェンドミル切れ刃の磁気研磨処理による加工の安定化

摘要

高速·高精度の金型加工が期待される高速ミーリング技術の中で、適用工具の開発は重要である。 一般に、高速ミーリング用工具はボールエンドミルをさす。 ボールエンドミルの切削性能を高めるには、コーティング技術の適用は有効であるが、高速加工条件では突発的にコーティング被膜の剥離が起きることがあり、工具寿命と加工の安定性を大きく左右する。 被膜の付着強度は母材の切れ刃近傍の研削面性状に直接関係すると考えられる。 コーティングする前の工具の切れ刃稜線付近に研削によるマイクロクラックがよく発生する。 コーティング処理を施す前にこれらの不良要素を取り除かなければ、被膜の付着強度が低下しかねない。 本稿では、磁気研磨法を用い、ボールエンド切れ刃稜線付近のマイクロクラックをなくし、表面の最大高さRyを小さくする（1μmRy以下）ことによりコーティング被膜の剥離強度を高め、工具の切削性の向上と安定した加工の実現を試みる。