算数文章題の構造的理解を指向した問題文と全体部分関係の対話的組立環境の設計·開発

摘要

二項演算の算数文章題は順思考問題と逆思考問題と呼ばれる二つの問題に大別でき，逆思考問題の方が解くことも作ることも困難であることが言われている．これは，文章題が含んでいる数量関係の構造的理解が上手くいっていないことを示唆する．著者らは，1回の2項演算で解ける算数の文章題が含んでいる数量関係の構造として，1和2差関係（一つの和関係と二つの差関係が不可分のものとして存在）を学習者が理解すると考え，その理解を促進する方法を研究している．本研究では，1和2差関係について，全体部分関係としての具象化をした上で，（1）全体部分関係，（2）文章題，（3）数式表現，を双方向的に操作できる環境を設計·開発し，試験的な運用まで行ったので，その結果を報告する．