海外から移入されたコリスチン低感受性多剤耐性ァシネト パクターバウマ二による脳神経外科術後脳膿瘍の1例

摘要

脳神経外科領域の手術部位感染の発生率は， 数％程度と言われている.しかし，ventriculo-peritoneal (V-P) shuntや人工硬膜，人工骨などの 異物を使用する手術での手術部位感染では，再手 術を余儀なくされるため，患者に大きな負担とな る場合が多い. 近年，多剤耐性菌の出現が大きな社会問題とな り，World Health Organization (WHO)やCenters for Disease Control and Prevention (CDC)などで もさまざまな対策が行われている.多剤耐性ァシ 不トバクグー(multidrug-resistant Acinetobacter baumannii ： MRAB)は有効な抗菌薬が極めて限 りれているしとから，multidrug-resistant Pseudo-monas aeruginosa (MDRP)と同様に，感染症治 療上多くの問題をはらんでいる.医療機関におけ る感染制御の上でも重要な位置を占め，既に本邦 でもMRABによる病院内アウトブレイクが報告 されている.