テラヘルツ波応用を目指した有機非線形光学結晶DASTの開発

摘要

有機非線形光学結晶DAST（4－dimethylamino－N-methyl－4-stilbazolium tosylate）は，大きな非線形光学定数を有し，従来の無機結晶をはるかに土回るテラヘルツ（THz）波発生特性が確認されたことから，広帯域のTHz波発生用結晶として期待されている。 しかしながら，実用的な広帯域のTHz波応用には高品質なDAST結晶の作製が不可欠であり，育成技術の確立が求められているが，従来法では結晶が容器や保持具と接触することで結晶性が悪くなるなど，高品質化には多くの課題が残されていた.そこで，当社では，DAST結晶をできるだけ容器や，保持具に接触させずに成長させることを目的としてゲル内成長法を提案し，大型で高品質な結晶を再現性良く育成する技術を確立した。 また，当社研磨技術により，DAST結晶表面のスクラッチフリー鏡面を実現した。 東北大·谷内教授らとの共同により，KTiOPO_4光パラメトリック発振器とDAST結晶を組み合わせた波長可変THz波発生システムを用い，ゲル内成長法により育成された高品質DAST結晶によるTHz波発生試験を行い，実用化レベルの出力パワーを確認した。