ZrO_2-1.6P_2O_5電解質を複合化したZnO-2P_2O_5ガラスの中温作動型燃料電池用電解質としての特性

摘要

200～300℃で稼働する中温域プロトン導電型燃料電池のための電解質として，良好な機械的性質を有するZnO-2P_2O_5ガラスに高いプロトン導電性を示すZrO_2-1.6P_2O_5電解質を複合化させた無機－無機ハイブリット型電解質を合成した．（ZnO-2P_2O_5）-10wt％（ZrO_2-1.6P_2O_5）ハイブリッド型電解質は125～300℃の範囲で3.3×10~(-2) S cm~(-1)の高いプロトン導電度を示しており，ハイブリッド化がガラス電解質のプロトン導電度向上に有効な方法であることが示された．（Zn0-2P_2O_5）-10 wt％（ZrO_2-1.6 P_2O_5）ハイブリッド型電解質のプロトン溶出速度は1.0×10~(-10)mol·s~(-1)cm~(-2)であり，また水素ガス透過係数も1.2×10~(-12)cm~3 cm cm~(-2)s~(-1)cm Hg~(-1)となり，ZrO_2-1.6P_2O_5単体と比較して極めて低い値を示すことが確認された．高い耐水性およびガスバリア性を示すZnO-2P_2O_5ガラスがZrO_2-1.6P_2O_5電解質を覆うことによってリン成分の溶出および水素ガスの透過を抑える効果があることが示された．