リニアモータ駆動コンテナクレーンシステムにおけるコンテナ揺れ角検出方法に関する研究

摘要

世界経済のグローバル化に伴い進展し続ける製造業を支える国際海上コンテナ輸送において，海陸をつなげるコンテナターミナルは，現代の港湾で最も重要な機能となった．又，世界の物流の90％を扱う重要な物流システムであるコンテナ船は大型化が進み，2006年9月には14,500TEUクラスのコンテナ船Emma Maerskが運航を開始した．コンテナ船の大型化に伴い，コンテナターミナルの荷役作業を行うコンテナクレーンシステムには，一層の高速化，自動化，保守性の向上が課題となっている．また，コンテナターミナルにおける更なる荷役効率の向上オペレータの疲労軽減，安全性の向上などを目的として，コンテナクレーンの自動化技術が開発されている．コンテナを確実に積載し固定するためには，搬送位置決めと揺れ·回転連成振動防止の制御技術が重要である．その中でも振れ止め制御は，熟練者でなくとも容易に扱える操作性と自動運転を実現する基盤技術であり，多くの研究がなされている．著者らは，高速な荷役作業を気候に左右されることなく安定に実現することが期待できる，リニアモータ駆動コンテナクレーンシステムを提案している．このシステムは，トロリ台車駆動用のリニアモータでコンテナの揺動制御も行うことを特徴としている．本稿では，コンテナの揺動抑制制御に必要となるコンテナの揺れ角を検出する手法として，トロリに装着した加速度センサの出力からコンテナの揺れ角を推定する方法を提案し，シミュレーションと小型実験装置による実験結果によりその有効性を検証した結果について述べる．