がん免疫療法の過去と未来：ェビデンスが示した新たな可能性

摘要

免疫系は外界から生体内に侵入する異物に対する排除機 能（抵抗力）であり，様々な異物に対しても十分に対応が 可能な多様性を備えている。また，臓器移植の拒絶反応に も示されるように，免疫系が十分に活性化されれば巨大な 異物に対して排除が可能な力を有している。生来生体内に 存在する自然抵抗力である免疫機能を活性化し「がん」を 治療しょうとする試みは，副作用の少ない理想のがん治療 法として多くの研究者の研究対象となってきた。しかしな がら，がん免疫療法研究の歩みが始まった当初に理解され ていた免疫応答メカニズムを振り返ると，その当時の知識 では有効な治療法に到達することは到底困難であったこと が十二分に理解できる。