路面電車·LRTについて最近の話題～本格的LRT化に向けた新技術の動向を中心に

摘要

日本で初めてのLRTが2006年宮山市に開業して以来7年が経過した．その間新設路線としては，富山市と富山地鉄が上下分離方式で建設した市内電車都心線（環状線）が2009年に開業しただけであるが，軌道の新規建設としては，九州新幹線開業に合わせ2010年に完成した熊本市電·複線軌道の歩道側へ移設（熊本駅前から田崎橋間）約0.4kmや，2012年完成の富山大橋架け替えに伴う軌道移設複線化（安野屋から大学前）約1.3kmなどがあり，軌道緑化や制振軌道などの新技術が採用されている．軌道と鉄道駅との結節改良では，2009年に高知駅が改札口直近まで延伸する改築が完成し，2015年北陸新幹線開業の関連整備として，高岡駅，富山駅などでターミナル改築工事が始まっている．路面軌道用の低床新形式車両は，鹿児島長崎，熊本，函館，豊橋，寓山地鉄，福井，札幌，阪堺，広電市内線などで導入された．本誌131号（2007年）では，LRTに関連する技術的話題を総括的に紹介させて頂いたので，今回は，その後5年間に進んだと思われる課題のいくつかを紹介したい．