ロボットの投擲·跳躍能力を高める磁性ブレーキシリンダ

摘要

一方，空圧駆動系で高度を高めるには，シリンダの内圧を高く保持したまま駆動して，ロッドの終端速度（ロッドの最長時点の速度）の高速化を図らなければならない．その対策として，一般には，タンク内の圧力や容積の増加，弁の高応答化や有効断面積の増大などが挙げられるが，これらはいずれも各空圧機器の質量増加を誘発する．空圧機器を搭載したまま移動するロボットの踏破性·機動性·運搬性を考慮すると，質量の増加を極力抑えてシリンダの高速化を図りたい．そこで本論文では，弁の性能に依存することなく急速放出機能が高められ，軽量な構成でもシリンダを高速化できる方法を提案する．すなわち「磁性ブレーキシリンダ（Magnetic Brake Cylinder，以降省略してMBシリンダと記す）」と呼ぶ新しい空圧駆動ユニットを提案し，その駆動ユニットの制御方法，動作解析，および設計法を示したうえで，開発した試作機による投擲や跳躍の実験を行い，提案手法の有効性を検証する．