航空·宇宙分野におけるCFRP技術の現状と展望

摘要

2011年10月にBoeing787（B787）が就航し，航空機材料としてCFRP（carbon fiber reinforced plastic）が適用されていることは，多くの方々に認知されるようになった．また，2013年7月に初飛行したAirbus A 350 XWB-900（A350）についても，機体構造重量割合の53%がCFRP と言われており，CFRPは今や旅客機構造にはなくてはならない材料となったといえる．航空機構造材料として主に適用されているプラスチックはエポキシ樹脂であり，繊維強化プラスチックとしての適用である．航空機構造へのCFRP適用研究は，1970年代にはじまり，ようやく2010 年代になって旅客機の主要構造材料としての地位を確立したことになる．これまでの旅客機構造は，アルミニウ合金が過半数を占めていたが，CFRPを広範囲に適用することよって，機体の軽量化はもとより，耐久性の向上，客室内の加湿や与圧の上昇，点検整備間隔の延長などが実現できる．航空機を使用して旅客輸送事業を行う企業は，この機体を使って燃料費の削減，客室の居住性向上による集客力向上，整備点検費用の削減などのメリットを得ることができる．本特集では，主に航空機に対するCFRP技術の適用例や製造方法などについて紹介する．