自動車の安全設計と信頼性向上に貢献する複合材料技術-II.--国内におけるFRPの自動車応用に関する現状と展望CFRP製自動車部品の事例と将来展望

摘要

CFRP（炭素繊維強化プラスチック）製の商品を目にするようになって,ほぼ30年が経過した.国内のCFRP用途は,この30年間に，スポーツ用品と航空宇宙分野を先駆けに成長し，近年ではIT機器を中心とした用途がこれに加わり，さらに，自動車産業などいわゆる一般産業用途での需要が急拡大する状況になった。 自動車分野では，CFRPの比強度,比弾性率に優れる特性を活用した軽量な自動車部品が開発され，他方,炭素繊維独特の光沢と炭素繊維織物の上品な奥行き感を意匠面に用いた商品性アップを狙った用途も多い。 本稿では，CFRP製自動車部品の事例と調査資料からの将来展望をまとめる。 CFRPは金属に比べると重量単価の高い材料であるが，高い軽量化指数（比強度,比弾性率）を有するので，金属製では実現できない軽量な部品を得ることができる。 白動車などの高速移動体では，燃費改善あるいは操縦性能向上において部品の軽量化は必須命題である。 部品開発では，軽量化に，新機能付与や部品統合,トータルコストなどを加味した総合的な判断で行われている。