高分子レオロジーと成形加工CAEの基礎－その中身と周辺問題－(13)マクロスコピック系のCAE：フィルム成形の基礎と応用

摘要

フィルム成形のCAEは射出成形の場合と異なり，各成品の複雑形状に対する充填挙動などの予測の必要性はない．しかし，フィルム成形における成形性（成形安定性，成形時の破断）の評価，フィルムの厚み精度，フィルム製品の物性予測，最近では光学フィルムの光学均一性やボーイング現象などの予測が重要になってきている．さらに，試験機などの少量評価した結果が大型機での成形挙動やフィルム物性を推測するための予測解析技術の構築が望まれている．また，樹脂のグレード開発する立場からは，樹脂デザインが成形性やフィルム物性にどのような影響を与えるかをモデル的に予測可能であれば，樹脂開発の迅速化が図れ，有効な手段となる．そこで，このような観点からフィルム成形で一般的な溶融押出法の成形として，インフレーション成形，溶融キャスト成形，テンター二軸延伸およびチューブラー二軸延伸成形を取り上げ，それぞれの成形法に対する解析法とその応用展開について，紹介する．