アスパラガス連作障害回避のための太陽熱処理効果の検証

摘要

アスパラガスの連作障害回避を目的として佐賀県内で 行った「湛水太陽熱処理」実証ほの土壌を用いて，ァスパ ラガスの生育阻害要因を調査した.ァスパラガスの幼苗検 定により，処理後の土壌において草丈および地下部新鮮重 は処理前の土壤における値より有意に大きくなり，本処理 によるアスパラガスの生育改善効果が示された.レタスを 用いた生物検定でも，処理前の土壌より処理後の土壌で， 幼根が長く伸び，ァレロパシー活性の低減が示された.さらに，ァスパラガスの主要病原菌であるF. oxysporumの菌 密度も，本処理後に検出限界以下となった.深さ15approx30 cmの土壌中のpH, EC, N03-N,トルオーグリン酸含 量は湛水太陽熱処理により有意に減少したが，交換性陽ィ オン濃度（Ca2+,Mg2+, K+),塩基飽和度およびアンモニゥ ム態窒素濃度には有意な変化が認められなかった.本結果 から，高いァレロパシー活性と病原菌密度が，改植前の土 壤におけるァスパラガスの生育不良要因となり得ることが 例示された.湛水太陽熱処理は，これら要因を効果的に除 外できる可能性があり，ァスパラガスの連作障害回避に有 効な技術のひとつと考えられた.謝辞現地実証試験を遂行するに当たりアスパラガス 生産者の北島松夫氏，帯田隆徳氏，峰崎政敏氏ならびに各 地区のJA,普及センター担当者の方々に多大なるご協力 をいただいた.また，佐賀県農業試験研究センターの各位 には現地試験ほ場設営や調査などにご尽力し、ただいた.こ こに記し，深く謝意を表す.