第11回　自殺念慮をもつ事例への対応

摘要

今回は、自殺念慮をもつケースを取り上げる。 自殺はこころの病の究極的な姿であり、自殺の90％以上はこころの病によるとされている。 つまり自殺はこころの病をきちんと治療すれば、未然に防止しえる可能性のある事態である。 もちろんすべての自殺が予防可能であるということではない。自殺問題は、職場のメンタルヘルスにおいて最重要の課題であるとともに、最も難しい課題の1つでもある。 周知のようにわが国では自殺が急増して、3万件を突破してすでに5年が経過している。 国としても自殺予防の対策を講じているものの、残念ながら一向に減少する気配がない。自殺は、残されたご家族はもとより職場の仲間にも大きな影響を与えるものである。