先天性絞扼輪症候群における軟部組織手術後の骨変化

摘要

先天性絞扼輪症候群において，絞扼輪部および先端合指部に生じた骨変化の評価と術後 の改善を検討する目的で，我々が怪験した症例の調査を行った.先天性絞扼輪症候群で初診時に骨 変化を認め，同部の絞扼輪形成術，合指分離術を行った20例を対象とした.手術時期の平均は15 か月で，術後平均経過観察期間は術後3年4か月であった.単純X線像をType A ：骨に陥凹があ るもの，TypeB:遠位が先細りであるもの，TypeC ：骨が弯曲しているものに分類し，最終診察時 の変化を評価した.最終診察時，Type Aは53.8%でremodeling, 30.8%で先細りの成長を認めた. Type Bは95.2"%で先細りのままで成長を認めた.Type Cは下腿で絞扼輪の形成後，明らかなremodeling を認めた.先天性絞扼輪症候群の骨変化の改善には圧迫の解除，循環の改善が関与してい ると推察された.これらの変化は軟部Mの処置のみで改善が得られる可能性が高く，陥凹?弯曲 が著しくても初期治療は軟部組織の処置のみで対処すべきである.