アルツハイマー病モデルマウスの脳内代謝物拡散係数の解析[大会長賞記録]

摘要

代謝物の分子拡散を計測するdiffusion-weighted spectroscopy (DWSjは，水分子ゼ 対象とするよりも，細胞内の特徴をより詳細に 観察できる方法として期待されている. DWSを用いて脳虚血ゃ脳腫瘍での代謝物の見 かけ上の拡散係数(ADC)を解析した報告が あるが，アルツハイマー病に関する報告は 現在のところ見当たらない.アルツハイマー病 では，神経脱落やアミロイドbeta (Abeta)沈着， タウタンパクの異常蓄積の前に，軸索の局所的 膨張や軸索輸送の低下など神経細胞にわずかな 変化が生じると考えられている.水分子の 拡散計測では神経細胞以外の水分子の影響によ り，このような神経細胞の変化を検出すること は難しいが，DWSにより神経細胞内の代謝物 のみに着目して分子拡散を計測することで神経 細胞のわずかな変化を観察できると期待され る.