言語政策に役立つ，コーパスを用いた語彙表漢字表などの作成と活用

摘要

特定領域研究「日本語コーパス」（以下「本領域」）の計画研究においては，日本語に関わる言語政策言語教育を扱う班として，日本語教育班と言語政策班の二つが立てられている．日本語教育班では，日本語を母語としない人々への日本語の教育にコーパスを活用することを研究している．これに対して著者が班長を務める言語政策班は，主として日本語を母語とする人々への日本語（国語）の教育（通常「国語教育」と呼ばれる）と，日本語そのものに生じている問題を改善しようとする「国語政策」の二つの分野でコーパスを活用することを目的に研究を進めている．現段階ではこの二つの分野へのコーパスの導入は行われていないため，まず効果が現れやすい側面に対象を絞るのがよいと考え，コーパスによって語彙頻度表漢字頻度表を作成しながら，語彙と漢字の研 究に着手することにした．