100年の謎の解明なるかぼやけた星間線はH2CCC分子だった？

摘要

天文学と分光学の大きな謎の一つに「ぼやけた星間線」(diffuseinterstellarbands ; DIBs）がある． 宇宙の恒星のなかには，地球とのあいだにあるな分子雲のために，短波長の可視光が散乱され，少し赤みを帯びている星が存在する（図1a).この星のスペクトルには，希薄な分子雲中の分子による吸収線が見られる． その発見の歴史は古く，最初の報告が1922年1)，初観測は1911～1919年のあいだといわれる．すなわち発見から100年になろうとしているが，その正体がどのような分子であるかは現在も謎のままである． DIBsが分布する波長領域は可視から近赤外にわたり，その数は現在400本を超える（図1b).炭素が直線上に並んだ不飽和炭素鎖分子か多環芳香族化合物であろうと考えられているが，同定はされていない．