日本産等脚目甲殻類の分類（18）

摘要

ウミクワガタ科Gnathiidaeは独特の形態をもち，生活史も特異であるため，長い間，独立したウミクワガタ亜目Gnathiideaとされてきたが，近年はウオノエ亜目ウオノエ上科Cymothooideaの中に入れられている154)。ウミクワガタ類の多くは体長5mmに満たない小型種であり，砂泥中やカイメンの体腔，岩や死サンゴの隙間，ゴカイの棲管の中など目につきにくい場所に生息している。また，成体のオスとメスや幼生は互いに形態が著しく異なるのでそれぞれの対応と種の同定がむずかしく，分類が遅れている。世界中で200種以上が知られ，Monod48）がこの仲間の集大成を行い，その後， Cohen & Poore155)が多くの新種記載とともに系統関係の新しい体系を提唱した。日本ではMonodの研究を嚆矢として，30種余が知られているが，近年研究が進んだものの，まだまだ新種が報告されている18.146,156～172)