単電子トランジスタを用いた極低温放射線検出器用読出しデバイスに関する基礎研究

摘要

近年の微細加工技術の発展によって、ナノスケールの加工が可能になり、電子1個のチャージングエネルギーで制御を行う単電子デバイスの研究が行われている。 単電子デバイスは,原理的に電子1個で動作することが可能であるため,低消費電力、低ノイズ、高集積化を要求される次世代の半導体素子として注目されている。そのメゾスコピック系と呼ばれる微小なスケールの領域では、電子の粒子性に起因すると考えられている伝導現象に波動性の影響が現れるため、粒子性·波動性の両者を考慮した量子力学的取り扱いが必要となる。 電子はその波動性によってトンネル障壁を確率的に通り抜けることが可能になるが、その移動した電子1個の電荷(-1.6*10~(-19)C)が無視できないような微小な系では移動によるエネルギー変化のために電子の移動が制限される。そのクーロンプロツケ-ド現象と呼ばれる特有の現象は、単電子トランジスタ(SET)の伝導に大きく影響する。