国立公園の管理に関する課題ー知床の世界遺産登録から見えてきた問題と展望－

摘要

知床財団は斜里町が出資して1988年に設立された。 当時、国立公園の現場では、環境庁や自然公園美化管理財団よって構掃活動や単発的な自然解説事業などが多少行われていただけで、その他は都道府県や市町村に任せきりであった。 本来国立公園に必要とされる継続的な保護管理活動や調査研究ほはとんど行われていなかった。知床では当時からさまざまな問題が山積しており、必要に迫られた地元斜里町は、財団を作って地域レベルで試行的な職組みを開始したのである。 今、知床財団は、調査研究から管理活動、普及啓発など国内随仙一の先進的活動を広掛こ展開している。 我が国の国立公園の運営が立ち後れている巌大の原医匿トつが、現場に実働部隊がほとんどいないことである。 知床財団の目標の一つは、他に足をっけて国立公園に展開する我が国で初めての実働部隊を備えることである。活動の中には、ヒグマに関わる危機管理活動も含まれている。財団スタッフ正続器を持ち、威嚇酢こよる非致死的対応や危険性が高い時の射殺まで対応可能だ。我々はこれまでの活動を通じて、現場に有能な人間と多少のランニングコストがあれば、相当なことができること、北米などにみられる先進的な活動は、我が国においてもけっして夢物語ではないことを実証してきた。 2005年、知床国立公園は世界自然遺産に登録された。 しかし、国立公園制度の根源的課題や地域固有の間鵜が大きく横たわっていることも￣現実だ。