バル金融危機後のプロシクリカリティに関する議論の進展

摘要

今回の米国サブプライムローンを発端とする金融危機については，すでに様々な兄地から論評が出ている．その中で再度注目されているトピックに，「ブロシクリカリティ」の議論がある． これは，金融機関規制，リスク管理 経営管理等，金融システム上のシステマチックな理由で，市場や景気の循環が自身で増幅され得る效果のことである．概念自体は従前から知られていたものの，今回の金融危機では，金融 情報技術の発達によって生まれた様々な要因を通してこの効果が強くみられ，危機を深刻化させることとなったといわれている．本稿では，金融リスク計量化の実務に携わっている立場から，プロシクリカリティに関する現状での実務的な議論について概観し，対応案や将来の課題についても言及することとしたい，