久保謙-先生が最後に考えておられたこと

摘要

昨年10月末，都立大名誉教授の久保吉粁一先生がご逝去された．世界物理年委員会の委員など，多方面における先生の活動をご存知の方にとっては大変な写驚きであったと思う．先生は昨年6月ごろご病気で入院された．しかし，携帯電話を持ち，メールをやり取りする環境を整え，従前と変わらぬ情熱で教育·研究活動を続けられた．7月末に長野県栄村で開催された物理年の記念行事（小柴·中村両先生の講演会）にも，医師の制止を退け企画者として参加されたと聞く．本当に頭のがる恩いである．本稿では久保先生の最近の教育·研究活動をご紹介して，先生が最後まで考えていらっしゃったことを少しでもお伝えできればと思う．