ドローンによる圃場生育評価と無人ヘリによる可変追肥システムを利用した水稲の収量·品質改善について

摘要

わが国の農業の現場では，農業従事者の減少とベテラン農家の離農が進み，経験と勘による農業技術の継承が難しくなっていること，農地集積や大区画圃場の拡大，国際競争の激化，気象変動による気象災害の発生頻度の増加等のさまざまな課題を抱えている．特に，水稲栽培において，これらの課題に対応するために，①圃場の生育状況の科学的な把握，②大規模化によるバラツキの抑制，③省力化，④質と量の安定化が急務となっている．このような状況に対応して，①圃場全体の生育状況の見える化②品質を維持しつつ，収量の最大化，③圃場評価および追肥作業の代替化が大きな課題となる．そこで農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業による「未来の豊かな農業を先進技術でサポートする．」ことを目的に，ISSA山形（Imaging System for Smart Agriculture from Yamagata）のコンソーシアム（鶴岡グリーンファーム，コニカミノルタ，ヤンマーヘリ＆アグリ，伊藤電子工業，山形大学農学部）を形成した．本稿ではドローン搭載の特殊マルチスペクトルカメラによる圃場の面的評価をベースに，無人ヘリによる追肥可変施肥により課題解決に取り組んでいる事例を紹介する．