システムインテグレーションの最前線：第4回：ユニバーサルデザインとシステムインテグ－レーションーユニバーサルデザインの技術課題

摘要

日本の総人口に占める65歳以上人口の割合は，平成14 年には18.5％であり，総人口の5.4人に1人の割合となっている．この割合は，諸外国と比較してもイタリア（18.2％）と並んで高い水準である．このように日本が高齢社会となるのに伴って，「ユニバーサルデザイン」の重要性が高まりつつあり，その言葉も広く知られるようになってきた．ユニバーサルデザイン（以下，UDという）といえば，シャンプーの凸記号やテレホンカードの切り欠きが有名である．しかし，このような製品のデザインだけでなく，使い勝手の良いシステムを工学的に設計するうえで，UDの考え方は重要になる．特に高齢者が使いやすい機器の研究開発には，高齢者の心理，特性を知ってそれに配慮することが大切である．製品のUD化は，システムを俯瞰的に見るシステムインテグレーションの概念が深く関係する．本稿では，工学的技術課題の側面から見たUDについて，いくつかの研究事例を紹介しながら考察したい．