「鋳造シミュレーションの活用」：鋳造部品開発における最近の形状評価技術と鋳造シミュレーション

摘要

鋳造部品開発において，鋳造欠陥のない製品を得ることは重要であり，鋳造シミュレーションを利用し効率的に最適な鋳造方案設計に至る取り組みが行われている．しかし，技術力や開発期間の制約からシミュレーション段階で完全な鋳造設計が完成できないことが多く，現物の鋳造結果に基づき調整が行われることがよくある．このような場合，その調整を技術として残すためには，それを評価する手段をもっことが必要である．とくに，鋳造では肉厚などの形状が品質に与える影響が大きく，設計モデルと品質を造りこんだ現物との差異を評価し，両者を一致させることが，安定した品質を設計に技術として織り込むことにつながる．また，シミュレーションでその差異の要因を可視化することができれば，次回からはその影響を加味した効率的な設計を行うことができる．このようにしてモデルの完成度を向上させることができれば，量産化や海外展開においても，順調にそれをすすめることができると期待できる．そこで本報告では三次元モデルを利用した，最近の鋳造部品の形状評価システムについて概説する．そして，それを利用した形状評価と，シミュレーションによる評価の事例を紹介する．