設計初期段階におけるシミュレーションベース支援のための工学解析プラットフォームに関する研究（第3報）－SPH法流体シミュレーションの鋳造方案検討への適用

摘要

鋳造とは，金属材料等を融点よりも高い温度で溶融させ(溶融材料を溶湯と呼ぶ)，型(鋳型)に流し込み固化させ目的の形状に成形する加工法である．また，良質な鋳造品を得ることを目的として，溶湯の鋳型への流路である湯口系の設定といった鋳造に関わる各要素の企画·設計を行うことを鋳造方案と言う．このような鋳造方案における決定は，溶湯が鋳型へ流れ込む順序，充填完了時の温度分布等を決定することから凝固·収縮の進行に影響を与え，鋳造品の品質を左右することになる．そのため，鋳造方案における検討時に繰り返し実行可能な高速で簡便な湯流れ解析手法が有効であると考えられるが，現状では適用可能な手法がほとhど存在しない．そこで，本報では，前報[1]で提案した設計初期段階のためのGPU(Graphics Processing Unit)による高速なSPH法流体シミュレーション手法を鋳造方案における湯口系の設定の検討に適用し，その有効性を検証する．