高齢者の亜鉛代謝

摘要

血清亜鉛濃度は加齢とともに低下し，高齢者では亜鉛欠乏症が多くみられる．しかし，血清総タンパク，肝機能，腎機能，血糖値，血清コレステロールなどが正常なら，血清亜鉛濃度は20歳代から70歳代まで低下はみられず，年齢別の基準値を設定する必要はない．高齢者では腸管からの亜鉛吸収は低下するが，膵液を介した亜鉛の排泄は老若差を認めない．亜鉛は免疫能の維持に重要である．高齢者に対する亜鉛補充療法は，肺炎などの感染症の予防に有効である．