特集にあたって

摘要

英語では電子レンジを，マイクロウエーブオーブンと呼ぶため，日本よりマイクロ波加熱ということが馴染んでいるかもしれない。 マイクロ波とは，波長が1mm（～300GHz）から1m（0.3GHz）領域の電磁波であるが，第二次世界大戦中は，専らレーダーなど通信の目的で使われていた。 1946年アメリカのPercy Spencerが,発振管の実験中にポケットのキャンディーバーが溶けていることに気づき，マイクロ波加熱を発見した。 以後いろいろな分野にマイクロ波加熱が応用され始めた。最初は芋の乾燥，コーヒー豆の焙煎など食品の分野であった。 調理のための家庭用電子レンジが大量に普及したのは70年代からであるが，1970年代に生じたオイルショックや天然ガスの枯渇危機により，西側諸国において電熱利用を推進することが，マイクロ波加熱の研究促進に影響していた。