食品製造における異物混入防止－混入の実際と防止対策

摘要

食品製造を取り巻く環境の変化に，消費者の安心·安全志向の高まりが挙げられる。表1は東京都に寄せられた食品関連の苦情の統計結果，表2は食品自主回収の集計結果である。苦情件数·自主回収件数ともに，平成19年度に急増した。平成19年度は，食品関連の不祥事や事故が相次ぎ，多くの事例が，新聞やニュースに取り上げられた頃である。平成19年度以降は，苦情·回収件数ともに，高い件数を維持し続けている。この傾向は今後も継続すると考えられ，大きな食品事故が生じると，消費者の関心の向上に伴って，これらの件数はさらに高まることが想像される。この中で異物混入は，苦情·回収要因の約10～15％を毎年占めている。異物混入は，消費者の健康被害に繋がる可能性もあり，発生防止に今後一層の努力を要しなければならない課題の一つである。