はぎまを見すえて 第11回 双極構造と差動構造－線形性の向上と環境変数の影響の軽減

摘要

ひずみを計測するシステムを思い起こそう。 基礎的な実験でよくやるのは梁のたわみの計測で，図1のように片持ち梁の上面と下面にひずみ計A, Bを貼って，梁のひずみを電気信号として取り出す。ひずみ計は張力が働くと電気抵抗が増加し，圧縮力が働くと電気抵抗が減少するように形づくられている。 そこで，ひずみεが加わったとき，ひずみ計Aの抵抗がどεに比例した変化分kεだけ増加し，ひずみ計Bの抵抗がねだけ減少する。 したがって，ひずみがないときのひずみ計の抵抗をR{sub}sとすると，ひずみ計Aの抵抗はR{sub}s＋kε，BのそれはR{sub}s-kεになる。 ひずみに依存する信号を取り出すだけならば上面または下面どちらかのひとつでよいのに，2つ宅使うのは一体なぜなのか？ この梁のひずみのように一方が正，他方が負というような正負両方の信号を同時に取り出して使うということは計測において少なからず行われる。 図2にその例を示す。 図の(a)は平行平板コンデンサで，変位ズに応じて電気容量C{sub}A, G{sub}B正と負の変化が同時に現れる。 (b)は差勤変圧器で，変位Xに応じて二次側に正と負の起電力帖と帖が同時に発生する。 これら正負同時に発生させる構造に名前をつけておくと便利である。 それを正負2つの極性の信号を出すという意味で，双極構造と呼ぶことにしよう。