ダビガトランェテキシラートによる薬剤性好酸球性肺炎の1例

摘要

症例は81歳，男性.近医にて心房細動に対しダビガトランェテキシラー卜を処方された.同時期よ り咳嗽，瞎痰を認め，胸部X線写真にて浸潤影を指摘された.肺炎として抗菌薬の投与を受けたが改善せず, 静岡市立清水病院呼吸器内科に紹介受診し入院となつた.気管支肺胞洗浄を行ったところ，洗浄液中の好酸 球分画が40%と上昇しており，ダビガトランェテキシラー卜による薬剤性好酸球性肺炎と診断した.ダビ ガトランェテキシラー卜を中止し経過観察したところ，ステロイド薬は使用せずに呼吸状態，胸部異常陰影 は次第に改善していった.ダビガトランェテキシラー卜は，我が国では2011年3月に発売された比較的新 しい抗凝固薬である.これまで，ダビガトランェテキシラー卜による薬剤性好酸球性肺炎の報告はみられて おらず，処方後には薬剤性肺障害の可能性について留意する必要がある.