緘灸臨床における有害事象に関するアンケ一卜調査 一国内の開業緘灸院を対象として一

摘要

【目的】本研究の目的は、国内の铖灸臨床における有害事象（過誤?副作用）の現状を 明らかにすると共に、その問題点と改善のための方策を検討することにある。【方法】対象は、平成21年10月現在、iタウンページに登録の開業铖灸院20,454件から 無作為に抽出した6,000件とした。アンケ一卜は、平成21年10月初旬に郵送し、同年12 月末日を返信期限とした。調査項目は、1)回答者プロフィール、2)鉞による有害事象、3)灸による有害事象、4)緘灸の有害事象に対する患者の苦情および告訴、5)緘灸の 有害事象に関するインフォームド?コンセント、6)緘灸の安全性に関する書籍'雑誌 の購読状況、7)緘灸の安全性に関する自由記述とした。なお、本調査は、2000年以降 の有害事象の経験の有無について調査を行い、その発生件数(頻度)は問わなかった。【結果】回収率は21.6%であった。緘の有害事象では、皮下出血（65.8%)、微小出血（62.0 %)、刺鉞時痛52.9%などの副作用が上位を占め、過誤では铖の抜き忘れ（32.7%)が最多で、 重大な過誤では折緘（2.2%)、気胸（2.0%)であった。灸の有害事象では、意図しない熱 傷（24.0%)、髪の毛の燃焼（15.5%)、衣服の燃焼（15.0%)が上位を占め、重篤な過誤では 灸痕化膿（10.8%)が最も多かった。有害事象に対する患者の苦情では症状悪化（21.8%) が、告訴では気胸（36.4%,11件中4件）が最も多かった。有害事象に関するインフォ一 厶ド?コンセントを得ているとの回答は全体の74.8%で、そのうち口頭のみが61.0%であつ た。緘灸の安全性に関する書琴等の購読率はいずれも30%未満であった。【まとめ】緘の有害事象の多くは副作用であり、刺激過多に起因するものが多かった。 灸では、施術者の不注意に起因するものが多かった。また、関連する書籍等の購読率が 低いなど、安全性に関する情報は未だ十分に浸透しているとは言えない現状が示唆され た。今後は、書籍のみならずインターネットを用いた情報の発信が必要であると考えら れた。