民間航空機機体用素材が変わる--開発中の民間機とチタン

摘要

エアバス社およびボーイング社の開発途上の航空機，A380，B787およびA350の各機の性能とそれらの機体にどの程度のチタンが使われそうかを大胆に推定した。 順調にこの3機種が開発に成功したならば，A380機は2006年，B787機は2008年，A350機は2010年にそれぞれ就航予定である。 したがってこの3機種が揃ってチタンを多量に使うのは2010年以降であるが，まず，A380機のみでも順調にいけば2006年後半ぐらいから年間3,000～4,000トンペースのチタン需要が創出されることになると期待できるのではなかろうか。 なお，受注したA380機のうちには27機の貨物機が含まれている。 貨物輸送にはA380機の大きさが有利になると考えられるし，航空貨物の増加から注意しておく必要があろう。 本稿では上記新航空機に用いられるエンジンについては触れなかったが，A380機は154機受注しているので，これらの機体に使われるエンジンは予備を含めて約700基になる。 これらエンジンにもチタンが使われることを貨物枚同様，忘れてはいけない。 チタンを使ってくれる可能性のある国産機開発についてはいまのところ，あまり明るい見通しはない。 まだ機体仕様も確定していない航空機まで素人が厚かましく多くの仮定をおいて推計したので，どの程度，信頼性があるか自信がない。 あくまでも著者の独善的考察であることを念頭において参考にしていただければ幸いである。 末筆ながら本稿をまとめるにあたって資料提供などでご協力をいただいた東京大学，日本航空宇宙工業会ほかの各氏に厚く御礼申し上げます。