過ぎ去りし半世紀を想う

摘要

資源地質学会が活発な活動を行いつつ創立50周年を迎えたことは誠に慶ばしいことです。 日本が第二次世界大戦に敗北して数年を経た昭和25年春，朝鮮半島で戦乱がおき，金属価格が急上昇して日本の鉱業がようやく復興への曙光を見いだした頃に本学会は創設されました。 日本産業復興の程を供給するべく，大学·研究機関の鉱床学研究者と企業の鉱床探査に係わる技術者が集まり，それぞれの持つ知見を交換して金属資源探査の促進を目指して設立されたのが，現在の資源地質学会の前身である鉱山地質学会であったと聞き及んでいます。 昭和20年代後半から30年代にかけて，日本の鉱業活動は今では考えられない位に盛んとなり，各地の鉱山に実習や見学に伺うと多くの先輩が実地に指導してくださり，また他校からの実習生と寝食を共にして交流することができ，鉱山における実習生活を楽しく過ごすことができました。 学会の講演会においては，鉱山在住の探査関係者から現場に密着して得た鉱床調査結果が報告され，それが研究者に大きな刺激となって鉱床学研究を著しく促進しました。 わが国に多い第三紀中新世の黒鉱鉱床についての詳しい調査結果とそれに基づく鉱床成因論は，学会から黒鉱鉱床研究特別号となって刊行され，特に北米大陸の研究者に大きな刺激を与えて先カンブリア時代の塊状硫化物鉱床の成因論の進展に貢献しました。