向精神薬のPharmacogenomksの成果を活用した新規向精神薬開発

摘要

現在，精神科臨床で使用されている向精神薬は，複合的な薬理効果を有するdirty drugであったり，ある精神疾患に対する治療薬の範疇に属していても個々の治療薬が有する薬理効果が異なつているものが主である.統合失調症を例にとれば，これまで特定の治療標的分子を決め開発を企図された抗精神病薬が複数あるが，臨床的有用性につながつもことはない，むしろ，治療抵抗性統合失調症に対する臨床効果が最も明確に立証されているクロザピンは，多様な分子に作用するdirty drugの代表であり， 効果において優れているが，副作用である無顆粒球症や肥満などの問題をはらんでいる.