家免全層角膜移植後の角膜創傷治癒と細胞外マトリックスに関する免疫組織学的検索

摘要

全層角膜移植術（penetrating keratoplasty，pKP）後の角膜創傷治癒を免疫組織化学的に解析する．白色家兎20眼を用いてPKPを施行し，術後3日，1，2週間，1，3か月日の角膜組織をサンプルとし，コラーゲン（I，III，IV型），ラージプロテオグリカン,コンドロイチン4硫酸，コンドロイチン6硫酸，ビメンチンの各抗体を使用して免疫染色を行い，経時的にその染色性を検討した．術後3日目までに，host－graftjunctionに沿ってⅠⅤ型コラーゲンが発現していた．術後7日目までには，創部でIII型コラーゲン，ラージプロテオグリカン，コンドロイチン6硫酸の発現が増加し，その後，これらは次第に消失した．上皮創傷治癒には1か月以上を要し，Descemet膜の再生は術後3か月を経過してもなお未完7であった．PKP後の角膜創傷治癒においては，111型コラーゲン，ラージプロテオグリカン，コンドロイチン6硫酸が重要な役割を果たしていると考えられた．