両眼視力低下を契機に診断された小児慢性骨髄性白血病の1例

摘要

背景：小児の慢性骨髄性白血病はまれであり，眼症状によって発見，診断に至る症例はさらにまれである. 両眼の視力低下を契機に診断された小児慢性骨髄性白血病について報告する.症例：11歳，男児.両眼の視力低下を主訴に眼科を受診した.初診時矯正視力は右0.5，左0.2で，両眼眼底に視神経乳頭浮腫，網膜静脈の怒張，蛇行，後極部から周辺部に出血を伴う4分の1から4乳頭径大のさまざまな大きさの隆起病巣がみられた.末梢血白血球の異常増加と骨髄および末梢血中のPhiladelphia染色体陽性，BCR-ABL融合遺伝子の検出などから慢性骨髓性白血病による眼内浸潤と診断された.ハイドロキシウレァ，白血球除去術，イマチニブによる治療を開始したところ，全身所見とともに眼所見は速やかに改善した. 結論：眼症状で発症した小児慢性骨髄性白血病に対して最新の治療によつて分子遺伝学的完全寛解が得られ， 眼底にみられた出血を伴う隆起病巣は平坦になり，瘢痕を残して消失した.