慢性腎不全患者におけるポリスチレンスルホン酸カルシゥム顆粒剤と散剤の服用性の比較検討

摘要

急性および慢性腎不全に伴う高力リゥム血症の改善薬であるポリスチレンスルホン酸力ルシゥム（PS-Ca)顆粒剤（ァーガメイト89.29%顆粒5.6g)とPS-Ca散剤（カリメート散）の服用性を比較するために官能試験を実施した。被験者は，慢性腎不全患者20名で，全症例において維持血液透析を受けており，性別は男性16名，女性4名，年齢は平均52.5±5.8歳，透析導入期間は平均7.4±7.1年，高カリウム血症に対するポリスチレンスルホン酸塩製剤治療歴を持つ症例は5名であった。試験デザ インは，非盲検クロスオーバー法による単回経口投与とした。服用性の評価は，口の中や喉に粉っぽさが残ると感じた製剤，むせそうと感じた製剤，口の中や喉が熱く （温かく）なるように感じた製剤，飲みやすいと感じた製剤の4項目について,3つの選択肢（PS-Ca顆 粒剤，PS-Ca散剤，どちらとも言えない）いずれかで回答するアンケートを実施した。その結果，口の中や喉に粉っぽさが残ると感じた製剤については全ての被験者が「PS-Ca 散剤」と回答し，むせそうと感じた製剤については「PS-Ca散剤」が19名，「どちらとも言え ない」力"名，さらに口の中や喉が熱く （温かく）なるように感じた製剤については「PS-Ca 散剤」が11名，「どちらとも言えない」が9名であった。一方，飲みやすいと感じた製剤については全ての被験者が「PS-Ca顆粒剤」と回答した。以上より，PS-Ca顆粒剤は，口の中でのザラザラ感（粉っぽさ），むせ返り，灼熱感を抑制し，服用性を改善した製剤であり，腎不全患者にとって服薬コンプライアンスを高める有用な製剤になりうると考えられた。