脳梗塞100例の追跡調査に基づく新規処方ならびに抗血小板薬処方変更患者におけるクロビドグレルの有効性と安全性について 亀田メディカルセンタークロビドグレルスタディ（Kameda medical center ClopidogreI Study：KCS）

摘要

タロピドグレル硫酸塩（以下，クロビドグレル）の非心原性脳梗塞もしくはTIA（一過性脳虚血発作）を発症した患者における脳梗塞再発ならびに心血管イベント発症の予防効果と安全性について，新規処方患者ならびに他の抗血小板薬から切り替えを行った外来患者を対象として検討した。 対象は，脳梗塞に対してクロビドグレル75mg/日を新規処方または他の抗血小板薬から切り替えて投与された外来患者108例（うち解析対象は100例）で，新規処方例46例，他の抗血小板薬からの切り替え例46例，追加併用例は8例であった。 クロビドグレルヘの切り替え前に投与されていた抗血小板薬は，アスピリンが30例で最も多く，次いでチクロピジン塩酸塩（以下，チクロピジン）13例，シロスタゾール4例であった。 クロビドグレルへの切り替え理由は31例が効果不十分によるものであり，うち24例がアスピリンからの切り替えであった。 また，8例は前投与薬による副作用によるもので，うち5例はチクロピジン，2例はシロスタゾールからの切り替えであった。 クロビドグレル投与後平均＆5カ月間の経過観察中，脳梗塞の再発や心血管イベントを呈した症例はなく，血液·肝機能障害ならびに頭蓋内出血や消化管出血などの重篤な副作用も認められなかった。 また，前投与薬のチクロピジン服用時に肝機能検査値の異常が発現した4例中3例で，皮疹が発現した2例で，さらに前投与薬のアスピリン服用時に無症候性消化管潰瘍ならびに胃粘膜点状出血が発現した1例で，クロビドグレルに切り替え後に改善が見られた。 今回の調査結果は，短い観察期間ではあったが脳梗塞の初発·再発患者に対する第一選択薬としてのクロビドグレルの十分な有効性と安全性が示された。また，クロビドグレルは，他の抗血小板薬で副作用を生じた症例や効果が不十分な症例に対し，より効果的なマネージメントができうる薬剤であることも示唆された。