妊娠中期に発症し，メチルプレドニゾロンとγグロブリン併用療法が有効であったEBウイルス関連血球貪食症候群

摘要

症例は32歳女性，妊娠16週に高熱が出現し当科入院となった。 汎血球減少ありLDHおよびフェリチンの著増を認め，凝固系検査にて播種性血管内凝固症候群を認めた。 骨髄穿刺では組織球による血球貪食像を認めた。 血清中の可溶性IL-2レセプター，TNF－α，IL－6の高値を認めたが，IFN－γは検出感度以下であった。Epstein Barr Virus（EBV）抗体価でEADR－IgGおよびVCA－IgGが高値であり，末梢血及び骨髄でのEBV DNAがPCR法にて陽性のためEBV関連血球会食症候群（EBV－AHS）と診断した。 prednisolone（PSL）経口投与やmethylprednisolone（m－PSL）大量療法にて病態の改善を得られず。 m－PSL大量療法，γ－globulin大量療法およびacyclovir，gabexate mesilateの併用療法を行い寛解を得た。 PSLおよびcamostat mesilateで維持し妊娠35週に自然分娩。 母児ともに健全で再燃を認めていない。 妊婦のEBV－AHSの報告は少なく治療法も確立していない。 妊娠中で治療薬の限られたなかこの併用療法は有効かつ安全であった。