末梢性顔面神経麻痺を合併したサイ卜メガロウィルス性単核症

摘要

症例は36歳の女性。発熱，全身倦怠感と肝機能障害の精査で当院紹介受診となった。入院時末梢血で異型リ ンパ球の出現を認め，血清サイ卜メガロウィルス（CMV)特異的IgM陽性，CMVpp65抗原陽性であったこと から，サイ卜メガロウィルス性単核球症と診断した。また，入院時に右の末梢性顔面神経麻痺を呈していたが， 髄液所見は正常であり，他の神経学的異常を認めなかった。末梢性顔面神経麻痺に対し，短期間のステロイド の内服を行い，徐々に顔面神経麻痺の改善を認めた。1ヶ月後には末梢性顔面神経麻痺は軽快し，血清中CMV-DNAは検出感度以下となり，CMV-IgG陽性化を確認した。EBウィルスによる伝染性単核症と顔面神経麻痺合 併例の報告は散見されるが，サイ卜メガロウィルスによる合併例は極めて稀であり，ここに報告する。